Column コラム

マデイラ島のブドウの収穫

2019.2.15

2018年は9月と11月に、お客様と共にマデイラ島へ行って参りました。
前年の2017年9月に訪れた時はブドウが豊作で、穫れすぎてしまってブドウ農家がワインの生産者に「もっと引き取ってよ!」と交渉するような場面に出くわしたのですが、今年は一変して収穫の時期が長引いていました。
初夏のころに雨と気温が上がらず、そのせいで生育に時間がかかったとの事。昨年はポルトガル本土で大きな山火事もおき、取引先のキンタ・ドス・ロケスも一部ブドウ畑が焼けてしまい、被害に見舞われました。気候変動が大きい昨今、自然を相手に上手に付き合い、そして自然の恩恵を受けながら、美味しいワインを作っていくのには大変な苦労があるようです。

苦労と言えば、マデイラ島はほとんど平地がありません。
急こう配の山肌を切り崩して住宅を建てたり、少ない土地を利用し段々畑にして農作物を育てています。そういった土地にバナナやサトウキビ、ブドウが植えられていますが、ブドウの収穫はほぼ全て手作業。機械が入ることができない畑がほとんどです。
また、農家の高齢化が進んでおり、後継者問題があるだろうな、と容易に想像できます。あるブドウ農家が収穫している畑にお邪魔した時、若い女性がいたので珍しいな、と思って話しかけてみると、普段はロンドンで仕事をしているけれど収穫の時だけは帰ってきて両親を手伝うとの事。
ブドウ農家にとって収穫時期は大忙しで大変な時期なのでしょうが、遠くに行った子供たちが戻ってきてくれて、久しぶりに家族みんなで過ごせる大切な時期でもあるのだな、と思いました。